物語。光・闇・真・創・ANGEL,STORY・ナエルの視 後編

この日記は読まない方が良いです。






幾つか時は経ち、決心したナエルは神に真っ直ぐに問う。
日々悩む。
日々彼は心に何かを抱く。
神はそれを見据えていた。
友人として。
彼らは何のために存在したのだろうか。


ナエル 『神よ、いや、サーネル。今一度行動を。人間の悪態は酷くなる一方だ。素晴らしいものもある。しかし、悪態が増している。今一度天罰を。』

サーネル 『ナエルの気持ちはわかる。しかし、干渉はならない。手出し出来る術など、世界が違い、我らには無い。』

ナエル 『おまえは何故わからない!?』

サーネル 『ナエル、よく考えろ。手出しの術はないだろう。』

ナエル 『やはり貴様は甘かったか。なら……悲しいが仕方ない。』

ナエルの目は紅くなる。翼は柴に染まる。そして本来光りを纏う心剣が、漆黒に染まり妖気を纏っていた。
ナエルはその剣で神を切り倒した。
ナエルは紅い涙を流していた様に見えた。

白い光りが在る。それは人間界に役割のためナエルと別で再び降りているラルの元へ行った。

人間界に異変が起き始めた。
人は人を殺し始めた。自然を燃やし始めた。動物を殺し始めた。
何もかもが破壊されてゆく。
自滅してゆく。
ラルは異変に気付き神の元へゆくが、神界には神はおろか使徒さえ、いない。
通間でミエルと、ラルの想い人のクレラに会い、二人から情報を得た。ミエルは時を見据える。クレラは心中を悟る。

ラルは友人を一人失い。
友人一人を救うために闘わないといけないと、哀しみながらも覚悟をした。
人間界に異変が起きたのも、神界に存在がなくなったのもナエルの仕業であった。
人を操り、人同士で殺し合わせる。神界の者は全て理由など関係なく光りの球となり霊界へ。
魔界を除いて、世界に存在するのは、ラル、ナエル、クレラ、ミエルだけになってしまった。
ナエルは悪魔になる前にクレラとミエルだけを通間に閉じ込めた。何故、二人だけなのか、何故、クレラとミエルだけなのだろうか。ミエルはナエルの想い人。ならわかる。しかし、クレラを何故。


今、二人の天使が聖と邪を賭けて世界の狭間で争う。


元は二つとも神に忠実な聖なる天使なり。
一つは限度の優しさ。もう一つは限度を越えた優しさ。あるいは限度を超えた優しさ。
その二つの魂。
そして後者は、緑ある美しい自然、素晴らしい人間、暖かい霊、様々なものを愛していた。想い人もいた。しかし、愛したものが悪を生む。これは自然的なものであり仕方のなきこと。だが、後者の彼は、それを見守る内に酷くなるのを辛く見ていられなくなった。その悪を許せなくなった。神に助けを、力を、問うが神は見守ることを勧める。
後者の彼は堪えてみた。
しかし、次第に心は許さない気持ちを強くする。そして彼は一つの霊と出会う。神を怨む霊に。
彼は悩んだ。神の気持ちも友人の前者の天使の気持ちも、自分の想い人の気持ちも理解出来ていた。
しかし、彼は何よりも美しい自然と平和を求めた。
完璧を求めた過ぎたのだ。
それが彼の心に憎しみを貯め、彼は我を失う。
結果、悪魔になってしまった。
そして愛してきた人も自然も破壊してしまった。

今、二つの天使は向かい合う。


ラル 『ナエル……何故こんなことを…』

ナエル 『神同様、甘い考えのおまえではわかるまい。私はここに新たな世界を築く。おまえは通間で愛でも築いていろ。邪魔だ。』

ラル 『ナエル……君は我を失ったんだね…』

ナエル 『私はナエルなどではない。邪魔だ。通間へ行け。』

ラル 『ナエルじゃない? それはどういうこと?』

ナエル 『名を教える必要も語る必要もない。邪魔だと言っている。私はまだここをさ迷う魂に用がある。通間へ行け!』

ラル 『そうはいかないよ。僕は君を……』


ラルは光りを纏う心剣を出し、構えた。


ナエル 『貴様は無駄に消すつもりはなかったが……ならば、光りとなるが良い!』

相手も漆黒の心剣を構えた。


今、二人の天使が聖と邪を賭けて世界の狭間で争う。


だが、決着は一瞬だった。

互いの剣を交えようとした瞬間、ラルの剣は凄まじい閃光の光りを放ち、漆黒の剣の妖気を消した。そしてラルの剣はナエルの剣ごと胸を貫いた。

心剣は人間の剣と違う。



ナエルは正気に戻った。


ナエル 『最後の最後まで寛大だな……サーネルは。』


ナエルは苦笑いしながらラルに話す。

ナエル 『すまないな……迷惑かけちまった。サーネルにも申し訳ないな。』

ラル 『君が一人で抱え込み過ぎたんだ。君一人の責任じゃない。共にやり直そう。ミエルが待ってる。』

ナエル 『今だからわかる。悪事を働いたことに気付いたら償いはしないといけない。』

ラル 『やり直すことが償いだよ。』

ナエル 『違う。俺の償いは、命の代償だ。重い命への償い。やり直しはスタート。スタートは償いじゃない。』

ラル 『君はもう気付いた。ならそれを活かしてやり直せるんじゃないか?』

ナエル 『それは見届けた者にもできる。俺に、どんな理由があろうとも過去は過去で有るもの。過去は今からに有るものに関係ないとは言えない。過去は関係なく、今からの問題だと言ってはいけないんだ。過去が今を形づくり、過去の積み重ねが感情に影響する。
俺の償いは、わかるだろう? だから見届けてくれ。』


ラル 『それが友としての役割なら。』

ナエル 『俺は黒い球になる。魔界に行く。番人でもするかな。彼女を連れていくよ。さ迷うよりそれが良いだろう。あと、願いがある。』

ラル 『何だい?』

ナエル 『ミエルに『愛している』と伝えてくれ。魔界には来るな、とも。彼女は来かねない。あと、君も来るなよ。すまないな。じゃ……行くか。』


ナエルは笑顔でラルにそう言って、ナエルは黒い剣を胸に突き刺し黒い球となり消えた。

ラルは見届けていた。
涙を流しながら笑顔で。

ナエルの役割は終わった。
ナエルは、妖気が消え正気を取り戻し天使になったが、翼と剣は黒いまま。
悪魔から堕天使となった。
そして償いをし、魔界に出向いた。
ナエルは最後まで涙を流さなかった。

これはナエルの視であった。



光・闇・真・創・ANGEL,STORY・ナエルの視 




これはあくまで私が創った物語。
真実とは言えない。
しかし、私は脳のままに語った。
これをどう捉え読むかは閲覧者のみなさん次第。
また、感想も異なることと思います。
読んで頂けた方へ。
『ありがとうございます。』


そして、これは『ナエルの視』です。

この『視』を、意味を、どう捉えるかもみなさん次第。


この物語の主人公はナエルです。

故に、ナエルの視が題名。


神とは妄想なり。




悪魔と堕天使と聖天使は心なり




そして、今語る。
人間の視点、世界観、それ故に神界に『愛』という表現が出来るのだろう。