雷鳴


創世から、一年後、大勢の人々が、『レマル』と呼ばれる怪物を退治しようと武器を持ち、一つの森へ行った。

しかし、その時に残ったのは子供一人だった。

子供は死の危機を感じた瞬間、命の救いよりも武器を願ったのだ。

『こんなもの切り裂ける剣かナイフでもあればっ』と。


その時、少年は光る刀を手にしていた。

怪物が襲い掛かる瞬間、少年は叫びながら刀を真っ直ぐに突き刺していた。


その事件に関しては以上で、情報があまりない。

あるのは、『森の中で何かが発光した』ということだけだった。

その少年は未だ行方不明になっている。

これを人々は『雷鳴』と事件に称した。

詳しい情報は町には入ってはいない。


そうしたまま月日が十四年も流れた。

一つの島の国の一つの町で、放火事件が起きた。

一つのご家庭が、燃え焼けていたのだった。

ミュウ=ハーネットという近所の少女は、周囲から心配そうに窺っていた。
ユウとセアを。

しかし、セアはその場で亡くなられ、ユウは行方不明となった。

それを耳にしたミュウは、衝撃のあまりか自家に戻り部屋に飛び込み泣き崩れたのだった。


そして……ユウが入っていった…一つの森……。

そこでユウはどうなったのだろうか………。


森にも陽が上り、森の中に朝日が入ってくる。

そこで目を覚ました人がいた。

それも少年だった。


少年 『ふわぁ〜あ………』

少年 『朝か。よしっ!食料調達に行くか!』


少年は目を覚まして、すぐどこかへと出かけた。

忘れてはならない。ここは森の中であることを。

そう、『レマル』と、人が呼ぶ……化け物のような存在が潜むことを。


歩くこと数分、森の中の木や枝や色々なものを掻き分けて、少年は止まった。


少年 『……また妙な生き物だなぁ…。ま、食うに越したことはないだろう。』


一般の想像を越えた、動物とも呼べる中型の生き物がいた。

少年をそれを見つけ、そう口にした後……

自分の上から背中に手を回し、何かを抜いた。

刀だった。

その刀は妙に光りを帯びていた。

刃筋が真っ直ぐに綺麗だった。

そして、刀を真っ直ぐに構え、人差し指を添え……勢いよく突き刺した!


少年は一瞬一抜で動物を串刺しにした。


少年 『……とりあえず飯ゲット…。水分は……』


そう言って、少年は周囲の一つの木に手を添えた。

すると、手の周りが光りだした。

やがて光りは消えた。


少年 『…水分補給…終了。』


木から水分を得たとでも言うのだろうか。


謎としか言いようがない。


少年は刀を背中のどこかに納めた。

綺麗にシュー、カチャッなどと音が鳴る。

そして少年は地面に向かって手を翳し、少年は言った。


少年 『……ァーサム。』

その声に反応したように、地面には焚火が現れた。

『ソル』だろうか。

この現象は『ソル』の具現化としか言いようがない。

ならば、この少年は何か知っているのだろうか。

少年は狩った動物を焼いて食べると、また歩き出した。


直感なのか運がよいのかはわからないが、少年は物の見事に動物を狩っては生活をしていった。

服装は白い布と鎧だけ。


少年なのにこれほどまでの一人で生きていくをチカラをどこで手にしたのか、そんな不思議な少年であった。


森をさまようように歩くこと数日、少年はとある声を耳にする。

《これ以上先に行っては望まない生活になる、引き返せ。》


と。


少年 『…ん? 耳鳴りか?』


森の中。何がいるかわからないところ。

そんな場所で何をいつ耳にするかなどわからない。

少年はそんな声を聞いて……


少年 『何かありそうだな…』

と言い、少し笑いを浮かべ先に進んで言った。


すると、凄い突風が森の何かを突き抜けた。

少年は瞬時に何事か理解出来ず、その場で顔を手で覆い、目を薄めて様子を見る。


すると少年は、言葉を無くした。

場所は森の中で見えるのは枝や木だったはずだった。

しかし。

彼の眼には、前に続く一直線な地面と、そこに行き止まりを示すように聳え立つような黒い大きな影だった。

影は、少年の眼には髑髏に見えていた。

気がつく頃には風も止み、黒い影も消えていた。

遠くからでは状況がわからない。

少年は驚きを隠せないまま、ゆっくりと歩き出した。

少年は警戒心を高め、刀を取り出し構えながら歩いて行く。

そして何時間も歩いた頃………少年は警戒心を緩くした。

前に、自分と同じ位の年齢の子供が倒れていたのだ。

少年は急いで駆け寄った。

そして息をしているかどうか確かめると、一つ息を付き、少年は野宿の準備をした。

少年は、子供を見たまま……朝を待った。